雨が降ってた。遠くの水面が波紋で跳ねる。ぼんやりしていたら、前髪を触れる冷たさで気付いた。
これだけ黒い中で雨なんて降るのか。遠くを見ていたって雨雲なんて見えないのに。でも不思議と邪魔にはならない。きっと現実だったらそんなことはないんだろう。
いや、でも、
おかしいな。
これ、雨?
私は遠くじゃなくて、珍しく空を見上げる。小雨くらいにたまに落としてくる上空、黒い空はどこまでも延長線だ。だけど、ポタッ、と落ちてきた水は、雨というには、変に大粒で、まるで溜まった重みで落ちてきたかのような。
雨が降っているんじゃなくて、木の陰にいるときに水滴が垂れてきてるみたいだ。ひっくり返したバケツに残った水滴を、今この球体は吸ってる。
なんで?これはなに?
そう考えたけどそれはすぐに馴染んだ。ああ…って声まで出そうになった。理解はしてないけど。
湿度が高いから。汗をかきそうね。
午前2時13分か…