10年という歳月が得た恋愛慕情



記憶増えても記号に変わると
解りながらも
この頃は
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いつまで思い出すんだろう
なんでなにもできなかったんたんだろうとか
今からでもやり直したいとか

別に今更付き合いたいとか考えてはいないけど
でもやらなかったことをずっと後悔してるのは
無意味で
やらないことは後悔になるという大切な勉強になったのに
それを活かしもせず
後悔を生かし続ける
あの頃の自分はもう息をしていないのに




後にも先にもあんな人は現れないだろう
悪いところも良いところもお目にかかれないだろう
そんなふうに諦めて置いてきぼり

今ならそんな悪いとこも愛してみせるさ
とかいう嘘もついてみたくなる




変わってなかった成人式の彼女の姿はもうほとんど思い出せない
人混みの中でまっすぐこちらに歩いてくる様々な彼女の姿がリフレインして
メリーゴーランドのように回る背景を負って
近付いてくる

別棟の廊下で歩く彼女
図書室の黒板から歩く彼女
教室の隣の席に向かって歩く彼女
偶然道端で会った高校生の彼女
マンションの階段を下りてくる私服の彼女
中学校の前で和装して歩く彼女
二人だけの部屋で手を握ろうと歩く彼女

告白を待って手の届く距離に立っている彼女
告白を拒もうと嫌々な顔をして立っている彼女

日に日に薄れて
同じ形に日焼けした混凝土が
彼女の顔をぼんやり映している
あれからずっと


なんでなにもしなかったんだ
いや触れてしまったら壊してしまう気がして
怖くてできなかった
壊してしまうなんて思い込み
自分だけの理屈も理由もない自己保身
恋愛をすることは託し託されることなのに
自分だけその荷を避けてた

今改めて付き合いたいわけじゃないけど
もう一回
やり直せるなら
やり直せたなら
どうなるかな
今度はちゃんと自分を正当化して別れられるのかな

なんて


あの頃と同じ痛い文章を書いてる





もうすぐ初めて付き合った彼女と別れてから10年になる