4秒のクロノスタシス



秒の単位で行動を見たときに
水溜まりに張った氷を踏んで割るように脆く
速く進む世界の自転に驚く 
音楽プレイヤーで選曲しているうちに 
25回動いた秒針が 
同じ数だけ脈拍数を切り刻んでいく

考えれば考えるほど陥っていく
いつの間にか経過していた4秒間を
どうしてか妬ましく憎んでしまう
眼鏡を取りかけたら4秒
鞄を持ち上げ向きを変え歩き出したら4秒
4秒が5回続けば20秒になって
それを3回繰り返せば1分になる
背筋が凍るように速すぎるのが
恐ろしくて気が狂いそうになる

亜音速に飛ぶ戦闘機よりも遅い僕達は
いったい何者なのかなんて考えてしまう
ドラえもんの秘密道具の使い途を考えるより不毛
しかし意識し出したら止まらない
怖い話を聞いて夜にトイレに行けなくなるようだ

そうなると今度は言葉を口にすることも惜しくなる
音楽を意識すれば聴いている時間が無駄に感じる
ひかりの先にのぞみが現れたように
形にせずに思考のみに集中することで
頭の中では無駄なんてないと思い込もうとするのだ
世界中を見てきたような顔する先駆者や時間は
そんな無駄な足掻きを見て一瞥してそっぽ向くんだ


僕達は時間の籠に囚われてる
恒久に続く時間に苦悶して
人生と地球環境に悪いものを吐いてる

そして今日もだらだらと重たい頭を持ち上げて
予定のない休日に何度も読んだ漫画を読み返す
時間をかけて温泉卵を作り
それをご飯に乗せて一瞬でかき混ぜてしまう
なぜだろう
決まってる
うまいから