「なんだよ・・・やめろよ・・・」
「・・・・・・」
「なんにもわかんないくせにぃ・・・ばかやろう・・・・ばか・・・」
「・・・・・・」
「さみしいよぉ・・・さみしい・・・」
「また嫌い合お・・・」
「うん・・・」
「わかってないのわかってるから」
「うん・・・」
「大丈夫?」
「顔つめたい。ここにいる。ほっぺ」
「うん」
「ばか」
それが寂しい顔をしたところで、夜明け前の光に起こされた。
夢は夏の砂場に落とした水滴のように、じんわりゆっくり消えていく。そんなことよりまた寝ないといけない。使命感がまたわたしを眠りに誘うように、努力をする。結果はいつの日も伴わないものだと感じる。
寂しさはいつだって仮設テントを揺らす強風のように、ココロを冷たくしては倒そうとしていくけど、倒れないでいるのは積み重なった哀情が、脚の支えになっているのだろうか。偶然に形成した彼らが助けている。それなら、わたしはまだ生きていける。寂しいことを誤魔化していける。この冬を越えていけ。
寒いからエアコンをつけて着替えよう。寒いから手袋をつけて出掛けよう。玄関に置いたゴミ袋を持って、忘れかけた鞄を持ち上げた。踵の音を鳴らした。乾いた風にやかましいほど響いた。