粟の花




そこに愛を咲かせる前に
花は咲かないと知る頃に
正気を取り戻せたなら幸運だ
わたしを惑わせたのは糖分だ

甘い柔和な芳香に
触れずとも思う感触
願うならそんなもの取り去りたい
削り落としたい

惚れたら負け、と人は言うが
わたしは絶対認めない
認めなければ負けじゃない
ゴムにくるむどころか
ティッシュにくるんでも負けだ
頭を触られてる錯覚で思考を溶かされてる
怖いから負けない認めない