比重


光の粒を1つ拾った
これは僕のカケラだ
柿落としに踵をつけた
やっと見つけたみたいに両手で握る
下瞼にお前は乗っかってきたんだ

前屈みに後ろ向きな人生だったのだ
防衛線を踏み抜かないようにしてたのさ
そんな頼らないようで越えない壁にもたれてた日々は
潔癖症の洗いすぎた手の平みたいに
皹割れてたんだ

何かを失って
だから、やっぱりって論破したふりして
泣いてやり過ごしてた

『だから』これからは本当なんだ
これは僕の人生だ
踵を返して立ち幅跳びした
だって、なんかじゃないんだもう
正直者が得しないわけないだろ


自分なんて在りはしない日々だったんだ
誰かの声を頼りにしてたのさ
崩れて倒れて痛い思いをするのは僕だってのにさ
他人に触れさせるべきじゃないだろ
繊細だってのにな

八つ当たりして
それで気が済んだことなんて一度も
そうだ一度も無かった

だからここからが本物なんだ
失くしても本望だ
地球を蹴っ飛ばしてみた
きっと常識外れな行いなんだろう
僕が本能に従う獣に見られても
みんなが良識に飼われる奴隷に見えても


光の粒の1つ目を拾った
これは僕が僕になれる旅だ
そして見え透いたバッドエンドを
少しでもマシにする旅だ
やっと見つけたみたいに両手で覆い込んだ
今度は壁じゃなくてソファーに
乗っかってみるんだ