梅雨のカーテン



ブラウン色のカーテンを
手子摺りながら閉めた
そんなところで一人分の空間なんて得られないんだよ

問診票には死を並んで
カルテには夢が並んで
警戒心という名の傲慢が
鉄槌の降り下ろしどころがわからなくなってる


水面を蹴る車輪の音
個性のない柄物の傘
薄手になった自己主張
ビルの合間の申し訳の路樹
好きな風景の中で靴を濡らす
そんなことも厭きて
厭きて 厭きて
レールを千切る勢いで閉め切った


思いのまま型どったものが
予測していた雨に崩れていく
それでも傘を持たなかったのは
光射すのを待っていたから?
ばかだね、って言ってくれるのを期待してたから?


もうどっちでもいいんだ
人によって平熱は変わるじゃないか
温度差も普通も日常もさ
徒労という名の傲慢が
思考という名の独善が
振り上げた拳の着地点を見失っている