1年前の今日


彼氏なんかじゃなかったけど
いなくなったことを切なく思うよ
今日からの仕事を乗り切る元気を
また捻り出さなきゃいけない
だから出来るだけ
忙しなくしなくては、なんて
仕事はいつも通り嫌なのにな

これはベストエンディングから
何番目のハッピーエンドだろう
疑ってはいけない
これはハッピー
君にハッピー
僕にもハッピー
疑ってはいけない



スマホの画像一覧を見ると
自動再生されるスペースがあって
そこに
1年前の今日
とか書いて1年前の写真を挙げてくる


今日上がってきた画像は
この時期に行われる祭りの写真だった
元カノと行った祭り
その時にはもう彼女じゃなかったけど


なんで今感傷を受けたのかわからないけど
多分自分が上手くいってない腹いせなんだろう
自分に八つ当たりしてるような
そんな感じ


一年って長いな
短いけど長い
だけどもうすぐ終わる
もうすぐ終わるんだ

去年と紐づいた今年は
来年と去年を紐づけない
箱の中に閉じ込めて
次の箱に新しいものを詰めていく

今年に片付けたいものは
今年になんとかしたいね
今年の数多の騒動も
そろそろ終わらせないと



山積みの疲労
そろそろ限界だし

運ばれるなら来年がいい
今年は嫌だ




BONNIE PINK

Joy


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恐怖に殺される


近頃いろんな事が怖い

恐怖が興味に代わって
喉笛を突き破ってくる

孤独も焦燥も貧困も叱責も無力も

全部自分のせいだから何もできない
また今日も酒を浴びる
緑茶割りオン・ザ・ロック

もう辞めたい
人生なんてつまらないし
息苦しいし


何故薬を飲むのかもわからない
でも薬飲んだらマシになる気がしてる
するだけ


考えたら10月が異常だった気がする
なんであんなにも活動的だったんだ
あんなにも楽観的だったんだ
いや毎週プールってそれすら冷静に考えればおかしい
それまでろくに運動もしてないんだぞ
でも今更やめられないしやめたくない
やめたら全部終わる



人混みで突然奇声を上げそう
怖い


でも知ってる
まだ大丈夫
まだ

壁紙



壁は返事をしません
壁に描かれた肖像画も応えません
そういうものだから仕方がない

リアクションのない壁に呟いたとこで
壁に感謝なんてしないでしょう?
返事のない背中に話しかけ続ける子供も
いつかは諦めてやめてしまうでしょう

負のスパイラルが始まるのはここから?
そんなことわかりません
誰が悪いのでしょうか?
その時誰しも決して自分だと答えたくない

腫れ物を避けて
沈黙を続けている

わたしの姿も壁紙のひとつに過ぎないのでしょうか

薄情な日曜日


僕がやること
言い訳を作ってる
羽子板じゃなくて真名板で
具を軽快に切る
夜に向かって
進む足音のリズムに
合わせて切る

西日、影絵、柔軟剤の匂い、
蜂蜜を入れたヨーグルト、
子供、煙草、蛍光灯の紐、
冬を迎える木々の宴。

ああ
薄情だ 薄情だ
白い食器に並べられた無味無臭透明のガーベラ
恵まれたように
見えてもまた
僕は言うんだ
ああ 薄情だ

なにもしてない
なにもできてない
僕のせいだ
いや薄情だ

きらびやか


宵闇の華美を
仰向けで見上げて
底のない水に
溺れて逝きそう

口から気泡が漏れる
苦しくないのに肺は悶える

闇に融けてゆくなら
今日このまま
どうかこのまま
私を曖昧にして

だけど逃げ場なんてない
この世のどこにも
夜の喧騒に消されようと
フッと躯体を
電飾の海へ放り投げた

闇から光へ
光から闇へ

この夜が私を愛してくれることを祈って呟く
時よ、止まれ。私の時を、どうか。
そばにいさせて。

他者弁論

自己主張のふりした他者弁論は
強がりのお面を蹴散らすと共に
簡単に心を溶かしていった

ああ、iPodが壊れてなきゃと
自分の都合を呪う日々だ
聞きたいときに聞けない声の
在処を北へ南へ彷徨いよろけてる

けど縋ってた糸を
黒塗りして
目の奥では見えなくした時に
そんなもの無くて
よくなっていて
不敵な夢を見なくなっていったんだ



一人で生きる力を
一人で生きる理由を
一人でも好きでいられるわけを
一人を好いていられるわけを



難しいな
人生って

比重


光の粒を1つ拾った
これは僕のカケラだ
柿落としに踵をつけた
やっと見つけたみたいに両手で握る
下瞼にお前は乗っかってきたんだ

前屈みに後ろ向きな人生だったのだ
防衛線を踏み抜かないようにしてたのさ
そんな頼らないようで越えない壁にもたれてた日々は
潔癖症の洗いすぎた手の平みたいに
皹割れてたんだ

何かを失って
だから、やっぱりって論破したふりして
泣いてやり過ごしてた

『だから』これからは本当なんだ
これは僕の人生だ
踵を返して立ち幅跳びした
だって、なんかじゃないんだもう
正直者が得しないわけないだろ


自分なんて在りはしない日々だったんだ
誰かの声を頼りにしてたのさ
崩れて倒れて痛い思いをするのは僕だってのにさ
他人に触れさせるべきじゃないだろ
繊細だってのにな

八つ当たりして
それで気が済んだことなんて一度も
そうだ一度も無かった

だからここからが本物なんだ
失くしても本望だ
地球を蹴っ飛ばしてみた
きっと常識外れな行いなんだろう
僕が本能に従う獣に見られても
みんなが良識に飼われる奴隷に見えても


光の粒の1つ目を拾った
これは僕が僕になれる旅だ
そして見え透いたバッドエンドを
少しでもマシにする旅だ
やっと見つけたみたいに両手で覆い込んだ
今度は壁じゃなくてソファーに
乗っかってみるんだ