ランドルト



17歳くらいから視力が落ちて
今は眼鏡をかけてる
でも眼鏡が好きになれなくて
必要なとき以外は外してる

見えすぎても疲れるし
見えなすぎても見ようとする
いちいち嫌いなものに触りに行くみたい
ばかみたい、気持ち悪い


眼鏡をかけてから見た世界は
いろんなことが鮮明で
潰れて広がってたテールライトが
ぎゅっと絞ってつまらない

いつもは見れないから
キラキラして見えて嬉しくなる
たとえば翻ったスカートの奥が垣間見える
見落としたらもったいない


写メより弱い視力でも
機会を逃さず捉えられるように
よく見えないと考えるどころじゃなくて
だから眼鏡をかけたんだ
よく見えると考えなきゃいけなくて
だから眼鏡を嫌うんだ
見え方が変わるんだ
空いてる穴が見えてしまう


眼鏡を一日中かけた
耳が重くて疲れた
眼鏡を放り出した
おやすみなさい
自業自得にかけた眼鏡を
憎たらしくて無いと困る
一緒にいると疲れる
だけど明日もよろしく社会人
さよなら、眼鏡も入れない目蓋の中へ