時代遅れの心



地下鉄の喧騒と乗客の馬鹿話に
負けないようにボリュームを上げた
心の声 掻き消されないように
音漏れに注意して上げてみるんだよ

心が体の何処にも無いってなら
目頭が熱くなるのは何故だ
胸は激しく疼いて
呼吸は速くなる
そして頭はぐちゃぐちゃだ
過ぎたるは及ばざるが如し、なんて紛い物だ
止められないなら 吐き出してみるんだよ


嫌々が本音で 本音が嫌いで
嫌いが怖くて 怖いから黙って
黙るから何を言ってもいいって思われちゃってさ
やってらんないや 怖いものは誰にも変えらんないから
やってらんないや

昭和の流行歌『生きていればなんでも出来るさ』
時代遅れと歌った『憂鬱を背負いながら生きていく』さえ
もう錯誤も甚だしいさ
挫折と名付けないでくれ 
無能なんだ 屑なんだ
それじゃダメなのか
『自覚があるなら…』嗚呼だ、乞うだ

ああそれなら『生きててごめんよ』
死んだらよかった あの時殺してくれたら
運命が生かしてくれたならそれは懲罰だ
…最早それも使い古されてるって


飽和した中で死を請うても
意味が無いから喉仏を引き抜いて仕舞ったんだ
代わりにアンプリファーを差し込んでやる
耐えられなくて身体が軋み出したとて
心は傷付きやすい鋼で出来てるから
消えたところで死は地下鉄から街に舞い上がる

時代に追いつけやしなかった
死ぬまでずっと
もう黙るからさ
何を言ってくれちゃってもいいからさ

ああ、

心の声さ 聞こえたかい