性善説




わたしは性善を捨て切れない性悪説論者だ
泣き言も譫言も見え透いた誤魔化し笑いも
花の咲かない覇王樹と大差が無いのさ
自明の強がりを枯らさないようにしたくても
善しとは出来ない賎しい臆病者

花弁に纏った毒を吐き掛ける
罌粟の薫りを漂わせて
わたしはそれすらも愛してほしくて
寂しい賎しい臆病者


伽藍堂は自分の価値を説明したがる
これはわたしだけじゃないはずだろ
個性なんて模範のトレースの癖して
まるで自分が存在しているかのように主張を続ける
衝動と感情がどうしても描けない

詭弁があなたを救うなら
中途半端な嘘でも憑いてやろう
夜鷹がわたしに巣食うなら
肉を喰わせて愛と平和の精神を謳おう

そんな
強がりでもさ
詠わせてくれないかな、ずっと
子供に聞かせる童話みたいに
300の色を7色の虹に作り替える日々を
嘘を
藍を


わたしが零して濡らしたテーブルクロスを
丁度替え時だった、と云う
そんなわかりやすい嘘だって構わない
空の花瓶が満ちるなら
わたしは性悪説論者だ