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どうして過去は輝くの
どうして終わったものを探すの

真横を走り抜けたハイゼット
排気の残り香だけ置いて
臭いと息苦しさを後に見えなくなっていった
月に一度とっておきのスイーツも
口にした甘い幸せを添えて
飲料水に洗い流されて消えてしまっていった

たった二文字
そのまま二文字
付けただけで今が褪せてもったいなくなるんだ

どうして過去は輝くの
どうして終わったものを探すの
納得してくれないのに時計は手を振って
親戚のおばちゃんの家から帰りたくないって
駄々をこねる子供みたいに
人は振り返っている
またやり残してる


ファストフードの外国人の店員さん
「ありがとうございました」
イートインの人に言うのは失礼と説教される
借りたマンガも貸したゲームソフトも
戻らないまま棚の上に
少しの苦さ残して君とギクシャクしていった

その二文字が
無くなって世界が
明るくなれるような気がしてきたミスリード

どうやって過去を切り離すの
そうやって後悔の末に
どうせ知ることのできない"あの頃"の"今"は手を振って
未来予知なんか出来ないし
今は死なないことに目一杯
だから過去に目を奪われてる

どうせ過去が輝くのなら
どうせ吹き飛ばせないものなら
負けないくらいに煌めくように腕を振って
不規則な変化だってするし
セピア色に上塗りだってする
過去の呪いを鼻で笑うくらい
今を死なないように生きていく
一方通行の標識に舌を出してく


イルミネーションに心が暖まるのは
輝いた過去を模造品の光に重ねてるからなのかも
あるはずのない理想郷は季節風の気紛れに肩を揺らし
空想の世界で色を放ち過去になるんだ