ピノキオピー HUMAN の 話 ①


ピノキオピーさんのかつてリリースした『HUMAN』というアルバムについてのレビューとまでいかない程度の感想を書いた

書き始めてから一年以上経ったのは笑ってしまう

その一年でいろんなことがあった
誰かが自爆したり
誰かが救われたり
誰かが気付いたり
誰かに傷付けられたり

そんなたくさんの人生にこのアルバムは寄り添えたとか全く思ってないけど
死んでいった彼らのためにも皆様はちゃんとラーメン食べましょうね




というわけで感想です

まずは前半です

なぜ分けたかというと途中でめんどくさくなったからです




1 ニッポンの夜明け
アルバムの1曲目だなぁという感想。他の曲はそんなに音楽というテーマには触れてないのに音楽の生き死にのみを書くのは、HUMANの生き死にと共に音楽の命は在る、ということですかね。誰かに聞かれなければ、死んだままだからね。はじめましての人ははじめまして。






2 動物のすべて
別のツイートで言った通り、HUMANというアルバムは見方を変えるとコロコロと形が変わっていくアルバムだと思うのだけども、この曲もその要素のひとつを担っているんじゃないかなぁ。とはいえ、この後の曲に大きく影響させず独立した形を持ってると感じる。
MV無しに曲単体で聴いた後だとああいう映像は浮かんでこなかっただろうな。だけどSaitoさんがMV作ってよかったと思う。とてもしっくり来る。
一言で感想を言うなら、生放送のピノさんの呟きだなぁ。

曲の構成はシンプルなA→B→サビ→A→B→サビ→サビ。合間に動物動物叫んでるおじさんがいる。だからスッと入ってきやすいかもね。
ボーカル録り直してるね。ところどころ歌い方が違う。

歌詞で気に入った部分は前々から言ってるけど、
猫がいた 猫だからニャーと鳴いた
犬がいた 犬だからワンと鳴いた
さて人間は 人間は 何と鳴く
ってところ。まぁここだけちょっと雰囲気違うし別に珍しくもないんだけど。ここはどう捉えても面白いところ。
猫がいて〈猫〉がニャーと鳴いたのか、猫がいてその猫を見た〈人間〉がニャーと鳴いたのか。それを感じさせるのが 何と鳴く というフレーズ。なんとなく鳴く から 何と鳴く、なんじゃないかって最初感じまして。 ついでに 難解なこと を なんとなく 言ってるのかとも思いまして。
これは人間が動物の意思共有や鳴き声の意味を理解できてないということから、意味もわからず難解な語句を喋っているのが、どちらも同じように なんとなく 程度に感じてしまうのではないかという解釈をしたんだけどね。つまりなんとなく、という雰囲気でピノさんがなんとなく雰囲気出したのかな。

深読み?そこまで見た方が楽しいよ

それ以外にもここの歌詞から思うことはあるんだけど同じとこずっと言っててもねえ。歌詞全体としてはメッセージ性があるようでそんなに無いのがこの曲だと思ってる。ピノさんの性格をわかってるわけじゃないけど、なんとなく ~しろ って言って伝えたいことを出したりはしないと思うんですよ。
またなんとなくの話になるけど。メッセージというより意識の有無に問わず、個人の感想を命令形みたいに言ってる気がする。ポイントなのは意見ではなく感想。リプではなくツイート。受け手からすればそんなもんどっちでもいいかもしれんけど。

あとこの曲の歌唱はとても良いバランス。上手いこと声と音に乗れていると思う。

超簡単に難解なことの説明

アポステリオリ 経験則


アプリオリ 先天性

真如 あるがまま

熏習 思想が離れなくなる

阿頼耶識 人間形成の根本にある心の深層部分

パラダイムシフト 恒常の革命的変化

├イニシャリゼーション 初期化

シヴィライゼーション 文明



PinocchioP - Everything About Animals / ピノキオピー - 動物のすべて








3 頓珍漢の宴
ピノがでしゃりまくってるなー!
素直な感想は、ライブバージョンのがよく声が出てるし、どっちの声を活かしたいのかわからない。同時に聴かせたいならなんかなぁという感じ。やっぱピノさんはヒップホップには向いてないかなぁ。いやこれヒップホップじゃないけど。
そう思ってたけど、ボカロはダサい で裏切られましたね。責任取ってください。

この曲の情景はとても好きなんだけど、じゃあどの部分がどう好きなのかと言われても説明ができない。
自分が酔ってる時とかよく考えたらこんな風に断片的な言葉出てくるけど、それを伝えるための言葉は頭を巡らないなぁ。
想像しやすい場面の合間に差し込まれる刺さる言葉が何とも楽しい。しかしその歌詞がどうこの宴に関係してきてるかはちょっとわからない。
実際のところこの曲はそんなに考える曲でもないと感じたけども。そういう曲のが伸びますね。
投稿された当時から、これは再生数は増えそうですねぇ、とか思ってたけどやっぱり伸びたね。

いやぁしかし、劣等感を武器にしたり、背徳感食い散らかしたり、うへぇごめんなさいですわ。

どうでもいいけどこの曲の次に 動物のすべて 聴くととても遅く感じる。



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PinocchioP - Tonchinkan Feast feat.Hatsune Miku / ピノキオピー - 頓珍漢の宴 - YouTube









4 Cryptid
トレーラーを見たときに、この視界にモヤがかかったような歌詞にとても惹かれた。細目でぼんやりしながら歌ってるようで、THE☆アルバム収録曲って感じね。

メロディに関して、ここはこの方がいいとかそういうのを感じさせないわけではなく考えさせない。きっと最初の歌詞 "異世界の香りがした" というのもそう感じさせる一因になっていると思う。言葉の力も凄いし、ピノさんが意図的にそうしてるなら、いやそうしてると思うんだけど、やはり歌入りの音楽はメロディだけじゃないんだと考えさせてくれる。

その逆で、メロディがこの雰囲気を醸し出してることで、歌詞の世界観、背景が現在と思い浮かべてる過去との距離感を表せている。最初にモヤがかかったようなって言ったけど、上手く思い出せないくらい、現在に追われていて、良いことばかり(と思い込んでる)の過去に思い馳せている。

歌詞とメロディ両方で相乗効果的になってるわけだ。これが上手くメロディに乗るということか。
そういったときにピノさんの歌声の音色の鼻声ぽいのは、まるでその不明確さを表してるようですわ。これは意図してるか知らないけど。でもそねさんがそういうところも伝えたりしてそう。

歌詞の内容としてはピノキオピー節というか、特色全開の歌詞で、正直言うとちょっとだけ残念なところがあった。これだけ上手いこと一曲として形が出来てるけどそこは変わらずか…と思ってしまいて。決して悪いわけじゃなくてね。だけど新しいわけでもないなぁって思いまして。
対比や意と反した結果や第三者の冷静な視線、これらピノさんが歌詞でよく盛り込む内容なんですよね。あと 失敗→感想→逆接→繰り返し っていうのもかな。そういうものから外れてる曲が最近徐々に増えてきてるからワクワクはしてる。
いやとても好きですよ。この曲すごく良いですよ。嫌いなわけじゃないですよ。

悪く言って終わるのあれだな。

ちなみに、cryptid とは 未確認生物 のことです。歌詞の内容のデマの生物を、未だに追いかけてしまう人の曲ですね。あとそれ以外のものも。タイトルが HUMAN というところも考えもの。後の ウソラセラ にもここが通じてるって考えると思うところがあります。








5 デラシネ
最初に言っておきますが、デラシネ とは根なし草や故郷から切り離された存在のことであって、名古屋を罵ってるわけではありません。フランス語らしいっすよ。

とってもシンプルな歌詞なだけにタイトルからの考察もしやすくていいですね。まぁ根が無いから自分で考えられないし、生まれから切り離されてるから家族や友達について触れるんだろうし。というかこの曲の歌詞はあれだよね、まだどっか自分を諦めて切れてない感じがあって辛くなるよね。
自分で偉そうにしてるやつの性格を見下してるけど、でも実際に出来てるし人付き合いもできるしそれなりに楽しそうにしてるし、自嘲的に "僕より全然大丈夫" だよね。

でもね、きっとこの曲は聴く人の立場や環境によって視野が違うと思うのね。この台詞はどっちが、誰が言ってるのか。俺は、自嘲的に見えてるけど、人によっては馬鹿にしてるだけなのかもしれない。人によっては切り離した人を遠い目で見てるだけなのかもしれない。どのみち辛くなるよね~。

そしてこの曲はこのシンプルな歌詞にたっぷりと時間を取ってますね。実際ライブのための曲なんじゃないか。コールアンドレスポンス。そうだとしてもそれでこの歌詞だから \やべえ/ だけど。
歌詞だけ読んでもいまいち、って人は絶対いるだろうし、歌詞絶対主義の方にはウケが悪いかもしれないけど、言っちゃ悪いがまぁノリなので。縦ノリのジャンピンホッピンなので。楽しければという感じで。
専門的なことはわからないけども、強弱がキタキターッて感じよね。DJしがいがあるのかな?楽しそうにプレイして歌ってるあの二人が浮かんできて楽しい。ライブの時のVJ?映像がとても良かった。
クソみたいな感想でごめんね。

ちなみに知り合いがこの曲を聴いた感想は、なんか腹立つ、でした。

Cryptid からここへの流れがすんなり入ってくるから良い。



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PinocchioP - Derachine [Live Edit] / ピノキオピー- デラシネ [Live Edit] - YouTube










6 祭りだヘイカモン
頓珍漢の宴 と同じようなことを言ってしまうが、声が、出てないです。ライブバージョンより良くなっているところもまぁあるといえばあるが……
元々この曲の魅力ってヒステリックに聞こえるようなミクの力強さで、それを機械がやるというチグハグさだったと思うのね。下手に男声のガヤが入ると、花見の席で茶々入れてるおっさんみたいになってなんかな。悪いわけじゃなくてそれはそれで味があるし、ピノさんからすればミクボーカルがよければ動画を見ていただければってことなんだけど。やはり動画から音を抜きたくない人って一定数必ずいるからね。ゆっくりの無機質さが好きな人だってたくさんいるじゃん。でもBメロのピノさんは好き。

曲は投稿当時から大好きで、もうずっとライブで大騒ぎしたいと、カラオケで30人くらいで歌いたいと、夢を見て眠ります。
投稿されてから今までいろんな解釈をされてきたけど、なぜかこの曲に関してはその解釈のどれもがアリだと思わされます。祭りです。馬鹿騒ぎって素晴らしい。ピノさんはとりあえず騒げる曲を作りたかったと言っていたが、
騒ぐ→祭り→噂を炎上させること というロジックなんだろうな。
お祭りと疲れと炎上を上手いこと絡めてその上楽しめる曲にしてるの素晴らしいですよね。他人を貶めて楽しんでるときの正気じゃない感じ出てますよね。主人公が悪気があるっていうのもまた良いところ。
"自称ツッコミばっかり"ってのはなかなか芯に迫る良い言葉。正誤の勘違いさや愚かさが出てます。


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PinocchioP - It’s Matsuri, Hey Come On! feat.Hatsune Miku / ピノキオピー - 祭りだヘイカモン - YouTube



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PinocchioP - It’s Matsuri, Hey Come On! [Live Ver.] / ピノキオピー - 祭りだヘイカモン [Live Ver.] - YouTube








7 羊たちの沈黙
初公開当時フォロワーさんが大騒ぎしてた理由がよくわかった。これはすごい。こんなん泣いちゃうわ。最初はミクのみだったのかな。
イントロから引き込まれる。テンポも歌詞も。
"ぼくは今も変わらず 腹の膨れない夢を見てる"
こんなありふれてる情景の、見たことのない歌詞、書ける人が他にいるのだろうか。
ピノさんの歌詞にはよく過去を悔やみ、風景を思い出す描写がよく登場するが、この曲はそれらの極みだと感じてる。言い方は悪いが、今後この曲を越える後悔の曲が出てくるとは思えない。

間奏やエフェクト、抑揚といった様々なものが、唐突に襲ってくる輝いた過去を揺さぶりながら、戻れない時間を重く感じさせる。無駄なところが1つも無い。ネガティブな夢見野郎。
個人的な話になるけど、ニートしてた時期が長いし過去を羨む時間が多かったこともあってこういう歌詞は弱いんや。

カラオケで歌いてぇ…







8 China Girl
『拳精』という映画に使用された、HERO名義で長沢ヒロさんが歌った「チャイナ・ガール」のカバーピノさんお気に入り曲。原曲はダンスナンバーだけどもバンド色がなかなか強くなっておる。ボーカルの歌い方も所々変えてる。
メロに負けないボーカルはカバーしたときに非常に活きてくるのがわかって嬉しくなっちゃいますね。
原曲も好きなんだが、どちらにも特有の良さがあって素晴らしい。シンプルに好き。メジャーアルバムだとこういうことも出来るんだなぁ。楽しんでるのが伝わってくる。
これわかる人がいるかはわからんけど、新しい風の吹く曲ってあるわけよ。いつ出したにも関わらず古臭さの拭えない曲もあれば、過去の曲でも新鮮味を感じる曲もある。このカバーはその新しさがある。もちろん古い曲がダメなわけではない。

この曲のMVとかとっても観たい。本気でプロでやってる人とかに作ってほしい。

どうでもいいけど、このカバーを聴いてからというもの、原曲の脳内再生が出来なくなってしまったから責任取ってほしい。





②に続く
http://realtheukon.hateblo.jp/entry/2018/07/15/011548