音楽がないと



人前
画面前
雑踏の中
疎らな中
騒音の隣
火事の対岸
会話
演説
話し手
聞き手
ライブ会場
一人部屋

その何処に居たって
自分が何処にも無いような気がしてしまう
その数だけ自分から欠片を飛ばしていっているようだ


だけどイヤホンをつけて
音楽を聴いているその間
飛んでいった自分の欠片が
ゆっくり集束していく
自分の双耳の膜を揺らす時
バラバラになっていたパズルがピタッと填まっていくんだ

そんな感覚
わかってくれる人はいませんか

もし無くなったらどうなるんだろう
だからiPod Classicが壊れたときは焦った
スムーズに填めるためには選曲しなきゃいけないからだ
その選択ができなくなったら焦る

わたしにとって音楽は自分を纏めてくれる存在だから縋るんだろう

なぜ
いつからこうなった
怖いな
声が出なくなって
次は耳が失われたら
わたしは何処にとっ散らかるのだろう

今聴けるだけ聴こう

こわいから