シルエットのヒーロー


「君が生きづらいのは君が悪いわけじゃない」
大して嬉しくもないことで慰めた上で
「親や育て方が悪かったんじゃない」とかさ
どこへの配慮だ? 誰に脅されてんだよ?

歪んだ反射を植え付けられた身体は
次に誰を恨めばいいんだ
どれだけ経っても日陰を歩かなきゃいけないのは
お前らのやってきたことじゃないか

それなのに陰を歩けば
今度は「何も見えない、何も聞かせてくれない」だって
狭間入り込んだ奴が踵を返して呆れ顔をして
あいつも敵だ、親も敵だ、見えない配慮を強いる奴ら敵だ

本当にいつまでもついてきてくれる優しい人間なんていなかった
誰もがみんな自分の事で必死だった
それを否定なんて出来やしなかった
それでも
『ダサい左腕の傷痕をいつでも見つけてほしい』
脳の何処かでそう願って生きてきた
自分が誰よりもダサい

見られ方を気にするのを辞めたって
誰かに合わせるのを辞めたって
自分で用意した選択肢に飛び込む勇気がない
今まで用意されてきたものを選んで
自分挙げた手は5秒で折られた
それが頭を浸水させてる

震える手で触れたものは大体灰になる
それなのに未だ震える指で触り続けなきゃ
自分が自分を助けてくれない
全部の責任を取らなきゃいけない

それでもいけないのかよ
たまには誰かのせいにしたっていいだろ
たくさん許してきたじゃないか
たくさん耐えてきたじゃないか

俺を許してくれよ!!