フィクションと片思い

 

 

 

 

どれだけ努力をしても

叶わない宝物があるって

どこかのドラマで言ってた

 

どんなことも地道に1歩ずつ

そんな名言を信じていたら

私より先に踏み出してた人に先を越された

 

時間がたくさんあったとしても

賞味期限は待ってくれなくて

不味くなった結果に

苦虫を噛み潰したのです

 

君にバレないように泣いた夕方帰り道

ボヤけてよく見えない車には気をつけなきゃ

でも、だって、どうして

飲み干して消化して私の全部に巡るの

 

誰もいなくて誰も聞いてないところで

全部嘘つきの世界のせいにして

嫌になっちゃう、明日も会えること

あんなに幸せだったのに

嫌になっちゃう、明日も好きなこと

 

 

 

 

家族を皆殺しにする夢を見た

 

 

 

 

家族を皆殺しに夢を見た

 

夢の中でも痛かった

 

その日のこと明確に覚えてて

全部覚えてしまっていて

 

だからこれは夢じゃないんだ

本当に殺ったんだ

 

って思ってた

 

 

 

 

家族を殺したことに悲しみとかなくて

 

その後の裁判とか調書とかそういうの嫌だな

って後悔してた

 

 

わたしの居場所を奪ったことが憎くて

 

わたしをこんな風にしといて

ヘラヘラ笑ってる家族に

感情が死んじゃって

わたしがいた場所も全部潰されてて

 

お前らもう本当にわたしが嫌いなんだなって

 

泣きもしなかった

無表情で全員殺した

なにかが限界になった

妙に現実味があった

 

 

今思い出した

 

妹いなかった

 

家族がわたしを壊した時には妹の存在忘れてたからか

関係なかったからか

 

 

 

今も思うよ

 

お前らのせいで

わたしは壊れたのに

平然と生きてるあいつらは本当に要らない

 

生保で生きることで本当に要らなくなるんだ

あいつら

 

つらい

 

 

 

キャバクラ行って

頭空っぽで警察に電話して

「家族をみんな殺しました」

って自首して

警察のおっちゃんが迎えに来て

その日あったこと全部話して

 

ああ、これからつらいなぁ

 

ってなんとなく考えてた

 

 

それでぼーっとしてたら終わった

 

 

なんとなくわかるよ

 

今日は塞ぎ切ってしまって

家から出られなかった

 

もう嫌になっちゃって

 

原因を作った家族

殺したくなっちゃって

 

愛されたくて

愛されたくて

でももう愛されに行くのも無理になっちゃって

 

 

もう

 

苦しくて

毎日

もう苦しくて

 

ずっと背中を押されてる

ずっと応援されてる

ずっと

 

 

 

家族を殺したわたしは

罰を受けないといけないんだよ

 

早く飛び降りないといけないんだよ

 

明日が怖い

慰めが怖い

応援が怖い

声が怖い

どこにも行きたくない

 

 

寒いせいなの?

いつも冬はこうだ 

 

 

寒いと寂しいは似ている

 

 

 

誰にとって楽しいのか


産まれたてのあかんぼが
天井に向けて小さく微笑んだりするのを
「前世の記憶を思い出している」
という噂がある
真偽はもちろんわからないけど

徳を積んで
得を摘んで
特別な一人だけの幸せをこれから詰んで生きてく
楽しみだね、ハッピーバースデー


たくさんの死の上に埋れたあなたの前世が
これからのあなたの人世を祝福しているぜ
答えてくれるわきゃないのはわかって聞くぞ
なにがそんな楽しいんだい?
誰にとってそんな楽しいんだい?
幸せな先祖さんに感謝しろよ
傷をつけてまで繋いだ新たな生命に
死ぬほど死ぬまで感謝しろよ



「夢見て幸せになる為に産まれてくる」らしい
産まれてこられて幸せになれた人生が
死生観のヒントの為に吐き出した名言

参考にならなかったな
僕は相変わらず
無い夢を追いかけるポーズをしてる


溺れるほどの夢に埋もれた数多の視線が
これからのあなたの理想に期待しているぜ
さぁ、その答えに正解の烙印は捺されたい?
なにがそんな楽しいんだい?
誰にとってそんな楽しいんだい?
望まれて恵まれた生命に感謝しろよ
誰もが来週の君に賭けているぜ
必死にしがみついてでも応えろよ



「わたしは何のためにいきるの?」
「幸せの正体がまだわからないんだ」
そんなの明日の昼飯時に考えよう
美味しいものは美味しく食べよう
眠くなったら思い切り眠ろう

そうやっていつまでもいつまでも疑問を先延ばしにしよう
目の前の素敵な選択肢にいつまでも夢中になろう



傲れるほどの新たな期待に居座った未来が
これからのあなたの道に投げ捨てられてるぜ
生きたくない日々の連続にやり続けない決意を掲げる
冷蔵庫にケーキはあったかい?
馬鹿を見捨てた気分はどうだい?
また明日死んでみないかい?
生き残ったらまた眠ろう
目が覚めたら散歩で冷やかしに行こう
バースデーのケーキを今年も食べよう

明日死にたくなったら
明後日も死にたくなろう
あなたの人生を金曜日にでも聴かせてよ

賢者タイム





筋トレは惰性でも義務感でもないけど
いつもやってるものをやらなくなると不安になるからやる
それで結果出たら嬉しいし

自分を喜ばせるのって難しいよね
ちょっと楽しかったとしても
ふとした時に何も無い空間で
どこかに落とされた感覚になるの

それでポツーンとしてて
それを上から見てるもう1人のわたしがいるの

安心感欲しい


日記も書いてたけど
飽きたとかじゃなくて
汗かいた体でノート触りたくなくて止まっちゃった
どうしようもなくなったら手書きで発散するだろうけど
実際はスマホのが速いし


もう自分が何も成長してなくて嫌になる
いつになったら自分のことを自分が許せるようになるの?
どうやったら自分のことを満足させられるの?

やりたいことを頬張ったらダメだぁ
どうせ口から溢れちゃうんだから
でもたくさん入れないと忘れちゃうんだ
それで気づいたら腐ってダメになるのが1番怖い


何かが切れて無くなっちゃうことのが怖いよ

シルエットのヒーロー


「君が生きづらいのは君が悪いわけじゃない」
大して嬉しくもないことで慰めた上で
「親や育て方が悪かったんじゃない」とかさ
どこへの配慮だ? 誰に脅されてんだよ?

歪んだ反射を植え付けられた身体は
次に誰を恨めばいいんだ
どれだけ経っても日陰を歩かなきゃいけないのは
お前らのやってきたことじゃないか

それなのに陰を歩けば
今度は「何も見えない、何も聞かせてくれない」だって
狭間入り込んだ奴が踵を返して呆れ顔をして
あいつも敵だ、親も敵だ、見えない配慮を強いる奴ら敵だ

本当にいつまでもついてきてくれる優しい人間なんていなかった
誰もがみんな自分の事で必死だった
それを否定なんて出来やしなかった
それでも
『ダサい左腕の傷痕をいつでも見つけてほしい』
脳の何処かでそう願って生きてきた
自分が誰よりもダサい

見られ方を気にするのを辞めたって
誰かに合わせるのを辞めたって
自分で用意した選択肢に飛び込む勇気がない
今まで用意されてきたものを選んで
自分挙げた手は5秒で折られた
それが頭を浸水させてる

震える手で触れたものは大体灰になる
それなのに未だ震える指で触り続けなきゃ
自分が自分を助けてくれない
全部の責任を取らなきゃいけない

それでもいけないのかよ
たまには誰かのせいにしたっていいだろ
たくさん許してきたじゃないか
たくさん耐えてきたじゃないか

俺を許してくれよ!!

王者の権威


結局 私 は冷たくてナイフを持った人間みたい。
わたしに認められるのは、誰かに八つ当たりしてる姿だけみたい。
優しさも怯えも、認めてはくれないみたい。

笑えてくるわね。

彼女の存在はそういう役割だったみたい。



そう、私よ。



椅子は何度壊しても直るわ。そういうものだもの。

唾をどれだけ吐いても嫌われないわ。そういうものだもの。

だけど当たり前のこと、誰も解ってないわ。
私の前に立った誰も。


刃物は持っている人も傷付けること。

振り回せば刃毀れを起こすこと。

時が経てば錆びていくこと。



そして、その時、

その時は、


捨てられる


ということ。





愛してるわ、私。



世界一




死ぬまで死なないでね、私。

路地裏の猫

 「やあ、ニンゲン」
 なんの気なしに立ち止まって、そこにたまたま居た猫は、鼻をつんっと突き出して僕に話しかけた。
 猫は言う。
 「なあ、なにか食べるものは持っていないかい?わたしはロクなご飯を食べていなくてね。お腹がペコペコなんだ」
 僕は訝む。その猫は食べていないと言う割には丸々とふくよかで、毛並みこそ汚れていたものの、食べ物に困っているようには見えなかった。
 「食べていないように見えないよ。そんなに大きな体をしているじゃないか。」
 僕がそうやって言うと、猫はため息でもするように首を少し下げて、すっと立ち上がった。
 「やはりそう見えるかい、キミたちには」
 トッ、トッ、と歩きながら猫は続けて言う。
 「ニンゲン、いやわたしたちネコのヤツらもみんなそうさ。見ただけで全部わかったような気になっている。いやいや、そう思うのはわかっているんだよ。だけどね」
 くるっ、と左に周りに回って、その猫は細い目で僕の顔を覗き込んだ。
 「わたしはお腹が空きっぱなしなんだよ。本当さ。この眼が嘘をついてるように見えるかい?」
 僕は正直とても困った。
 「猫の目の違いなんて僕はわかんないよ」
 思わず苦笑いが出てしまう。
 猫はそうかいそうかい、と言いたげに、ふんっとそっぽを向く。
 続けざまに僕は言う。
 「お腹が空いているなら僕じゃなくて仲間に頼んだらどうだい?余った食べ物ならくれるかもしれないよ」
 猫は耳をぴくんと傾け、ゆら〜りとこちらを向く。
 「仲間って誰のことだい?」
 「誰って、そりゃ他の猫たちだよ。たった1匹で生きてるわけじゃないだろ?」
 一瞬キョトンとした顔を見せたかと思うと、猫はくすくすと笑いながら言った。
 「キミにはわたしがどう見えるのかな」
 スタスタと歩きながら得意気に猫は話す。
 「ニンゲンたちは何かを食べるために、服を着て、話を聞いて、前足を動かして、後ろ足で歩く。それでやっと食べ物にありつけるだろう。わたしたちも毛と整えて、話を合わせて、無様に擦り寄って、そして獲物を獲るのさ」
 僕の2、3歩前まで歩いてきて猫は座る。
 「だけど、わたしはそんなこと意味がないのさ。毛を整えられるほどキレイな場所もない。話を合わせる相手はいない。もたれかかる相手もいないし、食べ物なんか残っちゃいないよ」
 そう言い終わって猫は僕の顔を、ニャニャとしながら眺めていた。僕には何を言っているのかよくわからなかった。だから聞いてみた。
 「でもキミは太っているじゃないか。食べ物はあるんだろう?」
 呆れた顔をして猫は再びそっぽを向いた。
 「キミはきっと好きな食べ物があるだろう?それを食べている時はさぞかし幸せだろう」
 少しの沈黙の後に猫は立ち上がり、振り返って奥へと歩いていく。
 「そうさ、わたしだって何も食べてないわけじゃない。でも、野草なんて食べてもお腹は痛いし、肉の切れ端を食べても気持ち悪くなる。雨水なんかじゃ喉は潤せない。なんでもかんでも食べてみたさ。だけどわたしは飢えて飢えて仕方ないんだよ。どうしてだろうね、それの果てにわたしはニンゲンに話しかけてしまったよ」
 なにを言えばいいのかわからなかった。そもそもなにが言いたいのかもわからなかった。
 路地裏の奥に着いた猫がこちらを振り返るのを見て、僕は口を開いた。
 「だけど、これだけ話す余裕があったんじゃないか。まだ元気そうに見えるよ」
 またも少しの沈黙が訪れた。
 そして小刻みに笑いに震えながら猫は言う。
 「ふふっ、そうだね。その通りかもしれないよ。どのみちキミは何も持っていなそうだし、残念ながらお話しに意味はなかったね。失礼するよ」
 猫はミャーォと鳴いたのを最後に塀の向こうへと飛び跳ねて消えた。

 少しだけぼんやりと過ぎ去る様子を見ていたが、やっぱり元気なんじゃないか、と心で呟きながら、僕は大通りに戻った。
 もし、次に会うことがあったら…
 そんなことを考えて、携帯用にちっちゃなジャーキーとサラダチキンをコンビニ買って僕は家に向けて歩き出した。
 それから僕は猫に話しかけられたことはない。